ROAD TO DEBUT
遠くて近い! 近くて遠い!デビューへの道のり
先輩アーティストに聞く“あの頃の私がやっていたこと”
Interview:JASMINE
2009年12月、1stシングル「sad to say」にて、レコチョク着うたフル(R)週間ランキング初登場1位など、期待の新人としてデビューを飾ったJASMINE。その後、11枚のシングルとベストアルバム『PURE LOVE BEST』を含め計4枚のアルバムをリリースし、日本におけるR&B系の代表的女性シンガーのひとりとして、多くのファンを魅了し続けている。 そんなJASMINEが、小さい頃から抱いていた“歌手になる夢“を実現させるまでにやっていたこと、自らのゴスペルクワイアの経験から学んだこと、独自につくりあげていった練習法、カラオケ難易度の高いJASMINEの代表曲の攻略法などを語ってくれました! 「もっと思い通りに歌いたい!」ソニトレ受講生のみなさんの、ためになるスペシャルインタビューを全4回に分けてお届けします!
第3回 ONE
-歌うことについてやっていたトレーニングや習慣はありましたか?
☆ある程度うまいと思ってもらえるレベルというはどのくらいなのかを考えたときに、まず高い声が出ることと音をちゃんとあてることができているかどうかだと思いました。そのあたりは自分が納得できるまで曲ごとにとことんやりましたね。具体的に言うと、新しいアルバムを買ってくると、その中から選曲の基準を持って自分に課題曲を選ぶんです。今の自分に歌える曲と、もう少し練習が必要な曲を分けるのが大切で、自分が歌える曲からクリアしていって、自分に自信をつけてから、もっとレベルの高い曲に挑戦します。お風呂などで何十回も歌って、できないパートは、また聴き直して、翌日チャレンジする。難しいと思う箇所は何十回でも聴き直して、難しい理由を見つけてそれを克服するやり方を試していくんです。ただ、やみくもに歌うということではなくて、例えば、「高い声を出すためにはもっと大きい声を出せばいいのかも…」などと、疑問や仮定を持つことで、自分で答えを探していきました。マライア・キャリーやクリスティーナ・アギレアの声の出し方などを、耳をダンボにして聴いていました。相当うるさかったと思います(笑)。 間違ったやり方だったかもしれませんが、そのときは、人に言われたことではなく自分がそうしたいことを優先して実行していて、ゴスペルで教わった腹式呼吸の練習もしていたので、先生が言っていることに自分の解釈を加えて、実践していました。最初はやっぱり全然声が出なかったのですが、それでもやりたいことを突き詰めているうちに少しずつできるようになっていきました。
-自分の歌声についてはどう思っていましたか?
☆自分で録音して、自分の声を聴くようになって、初めのころは自分の声がとても気持ち悪く感じたのを覚えています。信じられないぐらい鼻づまりに聞こえました(笑)。それを乗り越えるのも、自分の声をひとつひとつよく聴いて、どうしたら自分の声を好きになれるのかと、よく考えました。そうすると、「この時の声はきらい」「このときはちょっと好き」「適当な発声のときの自分の声は全く好きじゃない」という具合に、発声や微妙なニュアンスで声の聞こえ方がけっこう変わることがわかってたんです。 もうひとつ、歌にのせる自分の感情を知っていくことも大切にしました。適当な歌い方はしたくない。そういう気持ちが強くありましたね。歌詞はひとつひとつ意味が深く、歌う人や聴く人によっても、歌詞のなかのその言葉に対して抱く想いはみんな違っているものだと思うんです。人それぞれ経験によって重みが違うので、自分がその言葉に対して、どんな意味を抱いているのかということを考えて歌うように心がけていました。「悲しみ」という言葉ひとつに対しても、その意味が違うので、自分がどういうふうに感じているのかということを提示できないといけないと思っていました。誰が言っても同じ「悲しみ」みたいになってしまうことはどうしてもいやだったんです。自分の経験を思い出して、感情を思い起こしてその言葉を歌う。そうやって感情を込めて歌うことを心がけていました。
―オーディションへの応募について教えてください。
☆ゴスペルクワイアを卒業してからクラブなどで歌ってたんですが、ずっとこのままでいいとは思っていなくて、母に勧められて色々オーディションを受けていたのですが、いざとなるとビビリがひどくて、失敗してネガティブになって落ち込んで、また母に励まされて、というようなことを繰り返していました。凹んでしまって、「自分には向いていないのかも…」と思うことも多々ありました。そんなとき、デモテープオーディションというものを知って、いきなりリアルなオーディション会場で歌うとなると、自分を出し切れずに終わってしまうことが多かったので、録音してデモを作って受けるオーディションなら自分にあっていると思いました。アルバイト代をためて録音機材やマイクを買って、録音してデモをつくって送ったんです。機材をいじって録音することが、まるでおもちゃで遊ぶように楽しかったので、いいデモがつくれたのかもしれません。ソニーミュージックのデモテープオーディションが自分の求めていたタイプのぴったりのオーディションで、そのときになって、あらためてソニーミュージックのことを調べていたら、自分の持っているCDのなかにたくさん”Sony Music”という会社名やレーベル名がクレジットされているものがあったので、逆指名するぐらいのテンションで、「私はここに決めました」と応募用紙に書いていました。(笑)
-オーディションでは、段階が進むとやはり対面歌唱審査もあったと思いますが、“ビビリ“克服法は何かありましたか?
☆克復法は、オーディション会場で自分の順番を待つ間に、ほかの応募者の方と仲良くなることだと思いました。今までどんなことやってきたのか、これからどういうことやっていきたいか、どんな曲を歌っているのか、そういった面接で話しそうなことをお互いに語り合うことで緊張もほぐれて、頑張ろうねと励まし合うことで元気も出るし。本番の前に、自分の心を思いっきり開いておくことが大事だと思いました。審査の瞬間の直前まで黙っていて、胸の内を閉ざしていると、そこで突然に胸を開いて話すのはかなり難しいと思うんです。緊張すると、人ってどうしても心を閉じてしまうので、本番前にとにかく心を開いて準備しておくといいと思います。あとは、自分がどういう人間なのかが伝えられるように、いつも思っていることをとにかく話して、歌うことだと思います。私は、「歌うために生まれてきました」ってポロっと言ったのがプロデューサーに響いたみたいで。いつもそう思っていたから、そう言っただけなのですが…。
第3回に続く。
SUMMARY
自分への課題曲を設定して、順番にクリアする!
疑問を持つこと、課題に取り組むことで、クリアできる視点が見つかる。
自分の声の好きなところを必死に探す!
少しでもいい声を探して増やす。自分が抱く感情をきちんとのせる。それがポイント。
“ビビリ”防止は、本番前に心を開いておくこと!
オーディションでの“ビビリ”防止は、審査前の応募者同士の会話で切り抜ける!